奨励賞
名取市閖上地区における名取川・復興かわまちづくりRiverside Reconstruction Project at Natori-Yuriage
宮城県名取市閖上中央1丁目
かわまちづくり(河川堤防側帯などを利用したまちづくり)
閖上地区は東日本大震災による被災地であるため、「震災復興区画整理事業」および「名取川改修事業」が進められた。名取川改修事業を進めるに当たり区画整理事業による川沿いのまちづくりにあわせ、一部区間で「かわまちづくり事業」を導入することとした。
復興計画では県道10号沿いに商業地区を形成することとしていた。過去の商業地は名取川沿いにあったことから、一部商業者は川沿いに設けることを希望した。名取市は国交省のかわまちづくり事業を導入し往時の商業地を復活させることとした。かわまちづくり事業と連動させ住宅地の一部に商業利用の区域を設けるよう道路と駐車場の配置を見直した。
第1期整備は、2015年から2019年の5年間で進められた。2015年から2017年かけて、まちと一体となった「かわまちづくり事業」の内容を検討した。そして地元の商業者を中心に2017年9月に「(株)かわまちてらす閖上」が設立された。経産省の「津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金」を導入し、側帯にシンプルな木造で、閖上大橋上流の「あんどん松」にならった灯台を象徴する天窓を持ち、色は海とも陸とも喧嘩しない海松藍(みるあい)の商業施設が誕生した。2019年5月に「かわまちてらす閖上」が開業する。
第2期整備は、2019年3月~2021年11月の3年間で進められた。名取市および事業者の方々と具体的な内容を検討し、(株)かわまちてらす閖上の地先の河川敷と水面を利用した船乗場・サップの発着地・バーベキュー広場などの整備を行った。
また閖上地区全体は、津波背水堤防として嵩上げが必要であったため、旧堤防をそのまま活用して震災前の閖上を想起できる装置とし、「時間の蓄積」がわかる堤防のデザインを行った。
- 《主な関係者》
- ○平野 勝也(東北大学)/かわまちづくりの当初計画・変更計画および利活用・維持管理の検討に至るまで「かわとまち」が一体となった風景とするためのアイデア・デザインを提案
○岡井 春樹(株式会社東京建設コンサルタント)/かわまちづくりの当初計画において「かわとまち」が一体となった風景とするためのアイデア・デザインを提案
○檀上 裕司(株式会社東京建設コンサルタント)/かわまちづくりの当初計画・変更計画および利活用・維持管理の検討に至るまで「かわとまち」が一体となった風景とするためのアイデア・デザインを提案
○増田 由紀(株式会社東京建設コンサルタント)/かわまちづくりの当初計画・変更計画および利活用・維持管理の検討に至るまで「かわとまち」が一体となった風景とするためのアイデア・デザインを提案
○井上 大介(株式会社東京建設コンサルタント)/かわまちづくりの当初計画において「かわとまち」が一体となった風景とするためのアイデア・デザインを提案
○大和田 勝文(株式会社東京建設コンサルタント(当時)、清水建設株式会社(現在))/かわまちづくりの当初計画において「かわとまち」が一体となった風景とするためのアイデア・デザインを提案
○宮下 幸彦(株式会社東京建設コンサルタント(当時)、一般社団法人諏訪湖ミズベリング振興協会(現在))/かわまちづくりの当初計画・変更計画および利活用・維持管理の検討に至るまで「かわとまち」が一体となった風景とするためのアイデア・デザインを提案
○金山 美月(株式会社東京建設コンサルタント(当時)、中央復建コンサルタンツ株式会社(現在))/かわまちづくりの変更計画および利活用・維持管理の検討において「かわとまち」が一体となった風景とするためのアイデア・デザインを提案
○兼子 和彦(株式会社東京建設コンサルタント)/かわまちづくりの当初計画・変更計画および利活用・維持管理の検討に至るまで「かわとまち」が一体となった風景とするためのアイデア・デザインを提案
○針生 承一(針生承一建築研究所)/堤防側帯の特徴を生かした「かわまちてらす閖上」の建築計画・設計を提案
○柳澤 陽子(針生承一建築研究所)/堤防側帯の特徴を生かした「かわまちてらす閖上」の建築計画・設計を提案
○日詰 博文(針生承一建築研究所)/堤防側帯の特徴を生かした「かわまちてらす閖上」の建築計画・設計を提案
○小畑 和弥(名取市震災復興部(当時)、名取市生活経済部(現在))/かわまちづくりの当初計画・変更計画および利活用・維持管理の検討を推進、デザイン実現のため堤外地の計画変更・設計変更を検討
○草野 学(名取市震災復興部(当時)、名取市生活経済部(現在))/かわまちづくりの当初計画の検討を推進、デザイン実現のため堤外地の計画変更・設計変更を検討
○佐藤 拓人(名取市震災復興部(当時)、名取市企画部(現在))/かわまちづくりの変更計画および利活用・維持管理の検討を推進、デザイン実現のため堤外地の計画変更・設計変更を検討
○大宮 正(名取市生活経済部(当時)、名取市総務部(現在))/かわまちづくりの変更計画および利活用・維持管理の検討を推進、デザイン実現のため堤外地の計画変更・設計変更を検討
○平舘 淳一(仙台河川国道事務所(当時)、東北地方整備局 河川部(現在))/かわまちづくりの当初計画を推進、デザイン実現のため計画変更・設計変更を検討
○倉本 洋平(仙台河川国道事務所(当時)、北海道開発局札幌開発建設部(現在))/かわまちづくりの当初計画を推進、デザイン実現のため計画変更・設計変更を検討
○片野 美紀(仙台河川国道事務所(当時)、東北地方整備局 企画部(現在))/かわまちづくりの当初計画を推進、デザイン実現のため計画変更・設計変更を検討
○小田桐 聡(仙台河川国道事務所(当時)、東北地方整備局 河川部(現在))/かわまちづくりの変更計画および利活用・維持管理の検討を推進、デザイン実現のため計画変更・設計変更を検討
○宇佐美 淳(仙台河川国道事務所)/かわまちづくりの変更計画および利活用・維持管理の検討を推進、デザイン実現のため計画変更・設計変更を検討
○櫻井 広行(株式会社かわまちてらす閖上)/「かわまちてらす閖上」の建築デザインを実現するため、事業者および行政機関との調整を実施
○佐藤 智明(株式会社かわまちてらす閖上)/「かわまちてらす閖上」の建築デザインを実現するため、事業者および行政機関との調整を実施
○松野 水緒(株式会社かわまちてらす閖上)/「かわまちてらす閖上」の建築デザインを実現するため、事業者および行政機関との調整を実施
- 《主な関係組織》
- ○閖上地区かわまちづくり検討会/デザイン方針やコンセプトの決定、かわまちづくり事業のデザイン調整・助言等
○名取市(震災復興部、生活経済部)/かわまちづくり事業におけるデザイン方針決定と検討体制づくりを含む事業実施のためのプロジェクトマネジメント
○国土交通省東北地方整備局仙台河川国道事務所/かわまちづくり事業におけるデザイン方針決定と検討体制づくりを含む事業実施のためのプロジェクトマネジメント
○株式会社東京建設コンサルタント/デザイン方針やコンセプトに基づく堤防・側帯・階段等および河川敷等の計画・設計
○株式会社針生承一建築研究所/「かわまちてらす閖上」の建築計画・設計
○株式会社かわまちてらす閖上/かわまちづくり事業におけるデザイン方針決定と実現のための決断及びマネジメント
○S.Natori base (エス ナトリベース)/かわまちづくり事業(サップ事業)におけるデザイン方針決定と実現のための決断及びマネジメント
○マリンメカニック/かわまちづくり事業(遊覧船事業)におけるデザイン方針決定と実現のための決断及びマネジメント
○名取市観光物産協会/かわまちづくり事業の観光面の情報発信及びマネジメント
○ミズベリングゆりあげ/住民・事業者・行政が一体となったかわまちづくり事業のマネジメント
- 《設計期間》
- 2014年3月~2022年3月
- 《施工期間》
- 2014年3月~2023年3月
- 《事業費》
- 河川堤防整備事業:約6.62億円 *用地費・堤防等河川管理施設整備費を含む全体事業費
かわまちてらす閖上関連整備事業:約0.9億円 *公園整備・街路整備・駐車場整備等
かわまちてらす閖上商業施設建設事業:約3.6億円
- 《事業概要》
- 延長:堤防等かわまちづくり整備L=約2.4km
立地環境:河川空間
主要事業
:名取川河口部復旧・復興事業による堤防整備および名取川かわまちづくり事業による親水施設整備
:堤防側帯部の公園整備および商業施設(かわまちてらす閖上)整備
- 《事業者》
- 堤防事業・かわまちづくり事業:東北地方整備局仙台河川国道事務所
公園整備事業:名取市
商業施設整備事業:かわまちてらす閖上
- 《設計者》
- 堤防事業・かわまちづくり事業:株式会社 東京建設コンサルタント
公園整備事業:西松建設・鴻池組・佐藤工業・グリーン企画建設・パシフィックコンサルタンツ・オオバ共同企業体
商業施設整備事業:針生承一建築研究所
- 《施工者》
- 堤防事業・かわまちづくり事業:千田建設 株式会社
公園整備事業: 西松建設・鴻池組・佐藤工業・グリーン企画建設・パシフィックコンサルタンツ・オオバ共同企業体
商業施設整備事業:株式会社 阿部和工務店