理念
土木学会景観・デザイン委員会は、文化的で豊かな公共性を有する社会の実現のために、行政が整備し管理するというこれまでの公共施設のあり方を越え、市民が主体的に公共空間を使いこなすことが重要であると考えます。
一般的に、公共施設は人々の生活基盤づくりや防災、利便性の向上などを目的につくられます。これらの施設は、大地に固定され、不特定多数の人々に長期間使用されるという特徴から、地域の風景や人々の暮らしに大きな影響を与えます。
このとき、土木構造物や公共的な空間の質を向上させることは、地域の文明的・文化的基盤をより優れた環境として長期にわたり実現することに寄与し、市民がその公共施設や、それが創り出す地域の風景、それが支える人々の暮らしに、親しみと誇りをもつことに繋がると考えています。
これらを踏まえ、本賞では美しい国づくりに資するデザインの理念を以下のように掲げます。
優れた土木構造物や公共的な空間のデザインとは、当該施設の機能、歴史・文化・景観を含む地域固有の履歴、当該施設と人々の暮らしの関係性が考慮された上で、適切なコスト・資源によって、統合的な構造物・空間として実現されたものである。
それらは、既存の地形や水系、周囲の生態系とともに美しい風景をつくり、人々の豊かな生活を生み出す舞台となり、地域への誇りと愛着を醸成する生活・文化の創造に寄与するものである。