【埼玉県狭山市】
用途 / 駅前広場、市民広場、および建築土木施設群
楽しく歩ける都市の中枢拠点として、都市施設の充実、交通結節機能の向上、及び美しい都市景観の創出を目的とした狭山市駅西口の第一種市街地再開発事業である。駅前広場や都市計画道路等の整備により、駅前の交通環境の改善を図ると共に、美しい景観を備えた安全で快適な賑わいのある中心市街地を形成したほか、良好な居住環境、及び商業・コミュニティ・
文化・行政等の生活拠点施設を整備した。
公募で決まったスカイテラスという愛称の通り、駅前広場から続く緑豊かな市民緑地、
広場を取り囲むような建築群の配置、それらを結ぶ軽やかなデッキが、安心安全な生活拠点となり、かつ舞台装置のごとく様々な眺望や活動の場を提供している。特に、駅前広場とそれを取り囲むように入りした建築施設棟レイアウト、市民広場とが一体的に整備した結果、七夕祭りをはじめとしたイベント等にも対応できるのが特徴である。その活動は年々盛んになっており、日常の交通結節の場としても使いやすく、イベント等の場として、憩いの空間として、緩やかに成長を遂げている。
応募書類に8 月の七夕祭りの時に現地視察をせよ、とあったため、その通り8 月1 日に行った。駅から緩やかに下っていく歩行者専用の通路を経て出店のある小広場まで、浴衣を着た若者などで大いに賑わっていた。駅前広場、それを囲む諸施設は地形に素直に配置され、駅前から秩父連山への眺望は適切に確保されている。中央に駅前広場、過度にカバーされていない望ましい断面の歩行者デッキでつながれた中央公民館等と商業施設という分かりやすい構成である。しかしながら既視感ともいうのだろうか。きちんとできているし、随所にデザイン的な配慮もなされているがそれでも残る疑問のようなものもある。相変わらず駅前空間の中央はゆったりと自動車交通が使い、通勤時間帯以外はバスもまばらである。上層部の住宅の見え方についても今一歩の工夫が欲しいとの意見もあった。高い水準でバランスされた開発であるが故、さらに一歩踏み込んだ提案が欲しかったという印象である。(高見)
※掲載写真撮影者は、左から1枚目・UR都市機構、2〜4枚目・黒島直一、
5枚目・YAMAGIWA、6枚目・狭山市