選考結果について

奨励賞

狭山スカイテラスSAYAMA Sky-Terrace

【埼玉県狭山市】
用途 / 駅前広場、市民広場、および建築土木施設群

 楽しく歩ける都市の中枢拠点として、都市施設の充実、交通結節機能の向上、及び美しい都市景観の創出を目的とした狭山市駅西口の第一種市街地再開発事業である。駅前広場や都市計画道路等の整備により、駅前の交通環境の改善を図ると共に、美しい景観を備えた安全で快適な賑わいのある中心市街地を形成したほか、良好な居住環境、及び商業・コミュニティ・
文化・行政等の生活拠点施設を整備した。
 公募で決まったスカイテラスという愛称の通り、駅前広場から続く緑豊かな市民緑地、
広場を取り囲むような建築群の配置、それらを結ぶ軽やかなデッキが、安心安全な生活拠点となり、かつ舞台装置のごとく様々な眺望や活動の場を提供している。特に、駅前広場とそれを取り囲むように入りした建築施設棟レイアウト、市民広場とが一体的に整備した結果、七夕祭りをはじめとしたイベント等にも対応できるのが特徴である。その活動は年々盛んになっており、日常の交通結節の場としても使いやすく、イベント等の場として、憩いの空間として、緩やかに成長を遂げている。

《主な関係者》
◯南條 洋雄(株式会社南條設計室)/総合設計調整会議、及び色彩調整会議監修(マスターアーキテクト)、景観形成ガイドライン策定
◯石井 博史(株式会社戸田芳樹風景計画)/市民広場デザイン、総合設計調整会議主要構成員
◯伊藤 浩史(株式会社東急設計コンサルタント)/建築デザイン、総合設計調整会議主要構成員
◯伊藤 肇(宏栄コンサルタント株式会社)/駅前広場デザイン、総合設計調整会議主要構成員
◯黒島 直一(大日本コンサルタント株式会社)/デッキデザイン、総合設計調整会議主要構成員、色彩調整会議運営幹事
◯東海林 弘靖(有限会社ライトデザイン)/照明デザイン、総合設計調整会議主要構成員
◯吉田 愼悟(有限会社クリマ)/総合設計調整会議、色彩調整会議の運営幹事・景観形成
ガイドライン策定
《主な関係組織》
○狭山市/事業運営
○独立行政法人都市再生機構 東日本都市再生本部/事業運営
○株式会社鴻池組/建築及びペデストリアンデッキの施工
○西武建設株式会社/駅前広場(都市計画道路)の施工
○株式会社福田組/駅前広場(交通島)の施工
○山梅造園土木株式会社(当時)、株式会社山海(現在)/市民広場の施工
《設計期間》
2004 年9 月~ 2007 年3 月
《施工期間》
2008 年4 月~ 2012 年3 月
《事業費》
231 億円
《事業概要》
【施行地区面積】
約2.9ha
【事業概要】
駅前広場7400m2、市民広場4000 ㎡
▼地区外周道路(狭山市駅上諏訪線、狭山市駅霞野線、
その他新設区画街路5 路線)
▼歩行者デッキ(2 橋:900 ㎡)
▼1街区商業施設(延床?面積:20500 ㎡、商業:地下1〜3 階、住宅:地
下1〜11 階約70 戸、駐車場地下1〜3階)
▼2街区公益施設(延床面積:5600 ㎡)
《事業者》
狭山市
独立行政法人都市再生機構
《設計者》
総合設計調整/南條設計室
建築/株式会社東急設計コンサルタント
造園/株式会社戸田芳樹風景計画
照明/有限会社ライトデザイン
駅前広場/宏栄コンサルタント株式会社
ペデストリアンデッキ/大日本コンサルタント株式会社
サイン/株式会社黎デザイン総合計画研究所
色彩/有限会社クリマ
設備/株式会社ピーエーシー
《施工者》
建築施工/鴻池組
公共施設施工/鴻池組、西武建設、福田組、山梅造園土木

講評

 応募書類に8 月の七夕祭りの時に現地視察をせよ、とあったため、その通り8 月1 日に行った。駅から緩やかに下っていく歩行者専用の通路を経て出店のある小広場まで、浴衣を着た若者などで大いに賑わっていた。駅前広場、それを囲む諸施設は地形に素直に配置され、駅前から秩父連山への眺望は適切に確保されている。中央に駅前広場、過度にカバーされていない望ましい断面の歩行者デッキでつながれた中央公民館等と商業施設という分かりやすい構成である。しかしながら既視感ともいうのだろうか。きちんとできているし、随所にデザイン的な配慮もなされているがそれでも残る疑問のようなものもある。相変わらず駅前空間の中央はゆったりと自動車交通が使い、通勤時間帯以外はバスもまばらである。上層部の住宅の見え方についても今一歩の工夫が欲しいとの意見もあった。高い水準でバランスされた開発であるが故、さらに一歩踏み込んだ提案が欲しかったという印象である。(高見)


※掲載写真撮影者は、左から1枚目・UR都市機構、2〜4枚目・黒島直一、
5枚目・YAMAGIWA、6枚目・狭山市